一方ブルーベリーが人の手で栽培されたように、黒加倫もシルクロードを渡り人の手により栽培種となっています。ヨーロッパで19世紀以来広く栽培され仏名カシス・英名、ブラックカラントと名を変えカシスソーダ・カシスリカー・カシスジャム等の製品で日本でもよく知られています。野生にくらべ抗酸化力は劣りますがそれでもポリフェノールの作用は注目され近年サプリメントにもカシスの名で混合されたりしています。
日本では明治の始め頃に栽培種としてのカシスは北海道に渡来してきましたが一般にはほとんど知られていません。排水のよい、やや粘土質を好みますが生命力が強いため極寒にも耐え、土壌も選ばず挿し木も取り木も出来ます。
黒い植物色素(色素栄養ポリフェノール)を含有した食品が長い歴史の中で薬理効果を求めて食べつづけられてきたことは健康効果を認めた体験則ですが、現代科学による研究も植物の黒いポリフェノールの面から旭川医科大学だけでなく世界中の大学や研究機関で盛んです。2003.9.25日の新聞にも赤ワインのポリフェノールがアルツハイマーに効果があると金沢大学で確認されたことが記載されていましたが、今世界の製薬関連会社がプラントハンター(大航海時代に始まる有用植物を探索する専門家)を野生環境に自生する未知の植物を求めて世界の秘境僻地に派遣しています。未知の植物の作用が化学薬品で救えない人々の救世主になる可能性があるからですが、既に漢方薬では気が遠くなるような時間と犠牲が費やされてきています。
を得て人体実験として初めて用い、半覚醒に目覚めた妻へ麻酔薬の毒消しとして黒豆の煮汁(アントシアニン)に甘草を加えたものを飲ませたことでも知られています。
を見張ったように様々なウイルス・細菌も抑えるだけでなく121゜C20分の高圧蒸気減菌条件下の加熱実験でもその効力は変わらないとの研究も発表されています。
黒い食品は江戸後期の外科医、華岡青洲が麻沸湯という自ら開発した麻酔薬を妻の献身旭川医科大学でアントシアニン高含有食品の黒加倫における機能性研究により、インフルエンザウイルスを始めヘルペスウイルス、ネズミチフス菌(実験室株)、腸炎サルモレラ菌(臨床分離株)、腸管出血性大腸菌(0-157株他)などを強力に不活性化させる研究結果も発表されています。 またナポレオンの統治下のフランスで疫病(ペスト)の流行の折ワインやブランデーにカシス(黒加倫の栽培種)を加えペストを治したと伝えられており、野生のスーパーワクチンと呼ばれるだけの歴史的な体験則もあると言えます。研究者が目温熱効果に優れる黒加倫は中国の病院では喘息の治療に漢方薬としても使われており、中国黒龍江省の人々の間では滋養強壮や厳しい冬の風邪の免疫作りとしても飲まれています。日本では法的制度の関係で困難なのですが、他のベリー類から抽出されたアントシアニンエキスはイタリア・フランス・ニュージーランドにおいて医薬品として既に承認されており、夜盲症・毛細血管の脆弱・脳血管障害・胃潰瘍等の治療に使用されています。
数千年前、中国の医の祖と言われている神農皇帝は『神農本草経』のなかで医食同源・薬食一如・という言葉と共に、黒い色の食物は生命力を強化させる力があると語っています。その後、明代の名医・李時珍が『本草綱目』のなかで、数多い食物のそれぞれの性質と効能を分析した上で、薬にするなら黒にしなさいと世人に教えたと言います。民間では昔から、黒い食物は栄養が高く『気』の強いものとして、不老長寿を求める仙人食として伝わってきたのです。
中国古代哲学理論の『陰陽五行説』によると、黒い色は『五行』中の水に該当、人体では腎臓に該当します。腎臓は命の源である精と気を蔵する所であるので、黒色食物の養分と気は腎経に入り、生命力を強化するといわれます。これらの理論と伝統は果たして何らかの科学的根拠はあるのでしょうか? 1998年に出版された『世界に広がる黒色食品の波』と言う本には専門家の研究によると、植物の青・黄・赤・紫・黒など天然の色合いは同品種の場合、その色が濃ければ濃いほど分子の構造が合理的で整合されていたことが分ったと発表されています。中でも黒い食品は最高レベルの上品であると。また植物だけでなく牛・豚・鶏など動物でも黒の方が上質であると主張されています。
アントシアニンには次ぎのような生理栄養機能が提起されています。
● 毛細血管浸透性の正常化(循環器系の保護)
アントシアニンはビタミンPと同様に、毛細管の浸透性および脆弱性を抑制し、また栄養的に循環器系を保護して、紫斑病、脳循環障害、静脈瑠、肝機能改善、腎細胞疾患などを防止する機能があります。
● 血小板の抗凝集性(血栓の防止) アントシアニンは強い抗酸化作用によって活性酸素の 反応を阻害して、血小板の凝集を妨げる機能があります。
● コラーゲン組織の安定化(筋組織の強化)
アントシアニンは腱・靭帯・軟骨・軟骨基質(軟骨細胞)、などの人体最重要コラーゲン組織の変性を防止し、架橋統合して細胞の結びつきを強化安定させる機能があります。
● 結合組織の健全化(内臓平滑筋の強化・血管・骨組織の維持)
アントシアニンは血管平滑筋の緊張をとり弛緩させる機能があります。また強い抗酸化作用によって結合組織の維持に貢献し血管や、骨組織を健全化する機能があります。
● 緑内障の抑制・眼球内コラーゲン組織の強化
コラーゲンで生成される角膜・強膜・網膜・硝子体などの変性は眼内圧の上昇をもたらし、 緑内障の進行による視力の低下をもたらします。アントシアニンはこれらのコラーゲン組織を強化し、また強い抗酸化作用によってビタミンCの分解を抑制して、緑内障の進行を抑制する機能があります。
● 視力の向上・眼精疲労・老齢視力減退の抑止
アントシアニンは毛細管の血流をよくし、網膜の感光着色上皮に親和して、光を脳へ伝達する ロトプシンの生成を活性化することによって、夜間視力の向上、暗黒への速やかな順応、また眩光に対して速やかな視力の回復をもたらす機能があります。さらに老齢者(60~)の網膜黄斑変性による視力の減退を抑止する機能があります。
● 白内障・網膜変性の抑制 アントシアニンは糖尿病性網膜症・網膜の変性および水晶体の混濁による白内障の進行を抑制する機能があります。
● 高血圧・糖尿病性高血圧の抑制
アントシアニンは血圧を上昇させる酵素の働きを阻害する機能があります。
● 胃粘液分泌の増進(消化障害の改善)
アントシアニンは胃粘液分泌を増進し、消化障害や胃潰瘍を改善する機能があります。
● 抗変異原性 アントシアニンには正常細胞の癌化を防ぐ機能があります。
● 真性糖尿病・脂血症の緩和
アントシアニンには糖尿病による毛細管の脆弱化を防ぎ、特にそのデルフィ二ジン3-グルコシドは高血糖症を緩和する機能があります。またアントシアニンには血清コレステロール及び中性脂肪のレベルを下げ、脂血症を緩和する機能があります。
● 炎症関節疾病・痛風の抑制 アントシアニンはコラーゲン組織の強化及び抗酸化作用によって関節炎などの種々の炎症防止機能があります。また痛風及び歯根膜疾病を抑制する機能があります。