本書は、晩年のスクリャービン(1871-1915)を真近で見た友人レオニード・サバネーエフ(1881-1968)による貴重な「記録」である。晩年の作曲構想――神智学の隙間から覗き見た西欧ロマン主義の独自の解釈――、当時のロシア音楽界、家族のことなど、多くがスクリャービン本人の言葉で語られている。時には歯に衣着せぬ批評をしたとして敵も多かったサバネーエフだが、スクリャービンからは一目おかれていた。初版は1925年に出版されたものの、サバネーエフが西側へ亡命したこともあり、旧ソビエト政権下では忘れられていたが