ここ数年意欲的なプロダクションで俄然注目を浴びている、オーストリア西端の都市ブレゲンツでの夏の音楽祭、2011年はジョルダーノの傑作『アンドレア・シェニエ』を上演、これがたいへんな話題となりました。  演出は「トーキョー・リング」でおなじみのキース・ウォーナー。ウォーナーが大掛かりな野外オペラを演出するとあれば普通に終わるはずがありません。湖上のステージには巨大な人間の上半身が据えられています。これは革命期に恐怖政治を行ったことで悪名高いジャン=ポール・マラー(1743-1793)の像。湖上のマラーの像は、水浴中に暗殺されたというマラーを示しています。この巨大像のにいくつかの舞台を据え付けているだけでなく、ダンサーたちは像の上の急斜面や宙吊り状態で演技をしたり、さらには湖面にそのまま飛び込んだりと、アクロバティックに活躍。狭い劇場内では決して表現しえないスケールの大きな革命と愛の物語を描いています。  歌手では、日本でも新国立劇場でマッダレーナを歌って大評判だったノルマ・ファンティーニがここでも圧倒的。タイトルロールのエクトル・サンドヴァルはメキシコ出身のテノール。甘さと伸びのある声と情熱的な歌で近年人気が急上昇しています。そして彼ら以上に大喝采をもらったのがスコット・ヘンドリックスのジェラール。米国テキサス州サンアントニオ出身のバリトンで、このところ絶好調です。  指揮は日本でも人気の高いウルフ・シルマー。機能性の高いウィーン交響楽団を率いて、ジョルダーノの音楽から近代的な魅力をも引き出しています。(キングインターナショナル)