江戸時代、御茶師の中で最高の位である「御物御茶師」(ごもつおちゃし)として幕府や諸国大名の庇護を受けてきた春松家。しかし時代は明治を迎え、将軍家や大名の庇護は一切なくなり、御茶師たちのほとんどが転廃業を余儀なくされます。春松家も創業以来の危機をむかえますが、十一代春松は当時新開発のお茶であった「玉露」「煎茶」を扱うことにより多くの愛好者を獲得し、茶師から茶商へ転身をとげます。その後も時代の変化に柔軟に対応しながら温故知新を社是とし、茶業の灯火を守り続けています。宇治御茶師唯一の末裔として、四百五十年の歴史を誇る上林春松家。代々、丁寧にお茶づくりに取り組んできた精神は、いまも受け継がれています。