キャンティ・クラシコとは違う個性
『キャンティ・クラシコはキャンティより優れているのか?』総面積8500haという広大なキャンティ・クラシコ。キャンティ・クラシコが上位のように認識されているかもしれない。現にキャンティ・クラシコでは伝統的に行われてきた白葡萄品種のブレンドを2006年より法的に規制するなど、高品質化に向けて動いている。法定熟成期間も7ヶ月長い。比べてみるとキャンティDOCGは一部の量産品と藁苞ボトルに代表される低価格キャンティによって低品質イメージが拭えずにいる。そんなキャンティ地区の7つのソットゾーナの1つ、総面積800haと非常に小さいキャンティ・ルフィナを質で牽引するのがフラスコレ。『大きく違うのが標高だ。キャンティ・クラシコが200–300m程度なのに対してフラスコレの標高は500m以上。2倍の高さに位置する。ワインはたっぷりの陽光と昼夜の寒暖差によって強靭な酸と骨格を手に入れる』(オーナー・エンリコ・リッピ)外国資本が入り、世界に向けたワイン造りが行われるキャンティ・クラシコに対して1/10程度の小さな田舎の産地ルフィナのワインは田舎っぽく素朴な美味しさがある。
ジュリオ・ガンベッリ、オルネライア
醸造責任者はフェデリコ・スタデリーニ氏。オルネライアの前醸造担当者であり、ポッジオ・ディ・ソットでジュリオ・ガンベッリと共に働いていた。『パッソ・デル・ブラリオーネ(1600m級の山)とムジェッロ丘がぶつかる場所であるフラスコレの畑は特殊だ。急斜面の中で唯一、扇状に広がったこの畑は朝日を一番に受ける畑でありながら、日が沈む直前まで日光を浴びる。標高は520mで土壌はシスト。この土壌はパンツァーノと酷似しているがパンツァーノより砂質が強く、地中深くまでいかないと水分を貯める粘土質が存在しない。葡萄樹はより厳しい環境で地中深くまで根を伸ばさなくてはならない』畑では一切の化学薬品は不使用。銅と硫黄のみで対応している。醸造に関しては2006年まで使用していたステンレスタンクでの発酵を中止、小型のセメントタンクでの発酵に切り替えた。『発酵は自然酵母のみ。ステンレスタンクは発酵期間が短くなってしまうので個性が出難いと感じた。今では区画ごとに小さなセメントタンクで発酵・熟成させることでその区画の個性を以前より強く感じられるようになってきた』硬くなりがちなルフィナだが、年に数回、タンクを移し替え、酸素に触れさせることによって徐々に花開いていく。年に数回の移し替えを行い、最後にアッサンブラージュしてボトリング。
新たな挑戦と自由な発想
彼等は古い区画のカナイオーロやコロリーノを活かしながら、新しく条件の良い畑を細かく買い足している。色々な条件の畑の葡萄をブレンドすることで全体のバランスを取っていくのだと言う。更に白ワインも2種類造り始めていて、15時間のみの軽いマセラシオンによる伝統的トレビアーノと遅摘みした葡萄を35日間マセラシオンした長期マセラシオンのトレビアーノも完成させた。伝統的手法によるヴィンサントも素晴らしい。自然酵母のみ。酸化防止剤もフィルターも不使用。発酵は自然に任せて完全に発酵が終了するのを待つだけだと言う。『奇抜なワインを造ることが目的ではない。あくまでもバランス力があり、ルフィナの個性を表現するワインに拘っていきたい』