■アーティスト
山本圭/春風亭小柳枝(朗読)

■内容紹介
250年もの歴史がある川柳を、ユーモアたっぷりに朗読し聴かせてくれるCDが登場。江戸時代の生活が窺える古川柳を俳優・山本圭が、サラリーマン川柳などの現代ものを春風亭小柳枝が担当する。

■曲名
〈古川柳〉
(1)風鈴のせはしないのを乳母と知り/こそぐつてはやくうけとる遠目がね/銅仏は拝んだ跡でたゝかれる/人の物たゞ遣るにさへ上手下手
(2)昼買た螢を隅へ持てゆき/碁敵は憎さもにくしなつかしさ/きりもみはおさへた人が吹いて遣り/のまぬ客ちよつちよと酌に時を聞
(3)恋むこが来てうす紙を引へがし/ねんねこの腰は左右へ少しふり/内の者よろしくなどと作を入れ/笠のじぎたがいにふちを撫でゝ行
(4)わらんじをはくと二タ足ふんでみる/十二月人をしかるに日を数へ/ぶつまねはにぎりこぶしにいきをかけ/うたゝねの顔へ壱冊やねにふき
(5)三味線のけいこ帰りは口でひき/重箱をむすんで一ツさげて見る/立聞に持つた十能の火がおこり/詰将棋工夫ができてどれのきやれ
(6)もふいくつあがるとぞうに聞あわせ/書置はめつかり安い所へおき/通りぬけ無用で通りぬけが知れ/焼きざかなうちわを読んで叱られる
(7)大あくび棚の御神酒を見つけ出し/心中のじやまして今に礼をうけ/天井へつかへてまがるかげぼうし/より合ふと人のあたまの蠅をおひ
(8)腹立つて出るからかさはひらきすぎ/緋の衣着れば浮世がおしくなり/店ちんでいひこめられる論語よみ/是小判たつた一晩居てくれろ
(9)妙薬をあければ中は小判也/店中で知らぬはていしゆ一人也/国の母生れた文を抱あるき/掛人ちいさな声で子をしかり
(10)めいわくな顏は祭で牛ばかり/祭の子わらつて通るうちの前/泣き泣きもうかとはくれぬ片身分/嫁の礼男の見るは顔ばかり
(11)屁をひつておかしくも無い一人者/よめぬ字を何といふ字によんで置/はしの歩がすむと双方一ぷくし/勝つた日はいけんいはぬが女なり
(12)ぶんさんの礼にあるくは色男/新見世といへばわづかな欲を買ひ/辻切を見ておはします地蔵尊/髪を結ふ時に女は目がすわり
(13)ほれたとは女のやぶれかぶれなり/女同士どこしかあらを見出し合ひ/男ならすぐに汲まふに水かゞみ/子を持つてから三ン日をやつとぬり
(14)かごちんをやつて女房はつんとする/風ふかばどころか女房あらし也/薮入の内母おやは盆で喰ひ/南無女房乳をのませに化けて来い
(15)母の名は親仁の腕にしなびて居/ねてとけば帯ほど長いものはなし/女房と相談をして義理をかき/糸巻のむかうに亭主をどつてゐ
(16)桜見に夫トは二丁跡から出/うちわではにくらしい程たゝかれず/引越の跡から娘猫を抱/くどかれて娘は猫にものをいひ
(17)唐紙へ母の異見をたてつける/ふり袖は言ひそこないの蓋に成/能い娘母もほれての数に入/穴ぐらで物いふやうな綿ぼうし
(18)嬉しひ日母はたすきでかしこまり/むこのくせ妹が先キへ見つけ出し/しうとめは嫁の時分の意趣がへし/五ツ月を越すと近所へ義理をかき
(19)生り初めの柿は木に有るうち配り/産籠の中で亭主をはゞに呼び/親類が来ると赤子のふたを取/子が出来て川の字なりに寝る夫婦
(20)金魚売これかこれかとおつかける/すねた子を壁からやつとひつぺがし/まよい子の親はしやがれて礼を言ひ/拾はるゝ親はやみから手をあはせ
(21)竹の子のやうだとあげをおろして居/能い娘年貢すまして旅へ立/琴棋書画ならべたばかり知りんせぬ/客二人坐敷と部屋に劫をうち
(22)なつかしくゆかしくそして金と書/里のない女房は井戸でこわがらせ/いつちよく咲た所へ幕を打/嫁手がら唐のおとゞを軒へ立
(23)道問へば一度にうごく田植笠/武者ひとりしかられて居る土用干/おそろしきものゝ喰たき雪の空/瓜喰ふた所にわすれる柄袋
(24)風呂しきをとくとかけ出す真桑瓜/粉のふいた子を抱いて出る夕涼/本ぶりに成つて出て行く雨やどり/化けそうなのでもよしかと傘をかし
(25)雨やどり額の文字をよくおぼへ/もふほかに死に手なしかと鰒を買ひ/鰒買てよそのながしへ持て行き/手の甲へ餅をうけとる煤掃
(26)助六は江戸一番の頭痛もち/和籐内一家の義理はかきどうし/やわやわとおもみのかゝる芥川/湯にはいる時入道はぢうと言ふ
(27)義盛はおみやげらしい子をそだて/飛車角のみんななりこむ一の谷/なけなしの銭で松明二本買ひ/降参がすむと一度にひだるがり
(28)源左衛門鎧を着ると犬がほへ/五右衛門はなまにへの時一首よみ/ぬるい茶のやうにはいかぬ関ヶ原/あくる日は夜討も知らず煤をとり
(29)五十膳ほどと昼来て金を置き/美しい顔で楊貴妃ぶたをくい/李太白一合づゝに詩をつくり/たがかけに四五間先きで犬がじやれ
(30)米つきに所をきけば汗をふき/柄杓うりなんにもないを汲んで見せ/夜そば切ふるへた声の人だかり/引きふだは指をなめなめはすに来る
(31)添乳して棚にいわしがござりやす/材木屋ついてあるいて空を見せ/かんなくづかみかみ大工といで居る/渡し守一トさほ戻す知つた人
(32)古さとへ廻る六部は気のよわり/先生と呼んで灰ふき捨させる/長噺とんぼのとまる鑓の先/関とりの乳のあたりに人だかり
(33)年忘れわすれずとよい顔ばかり/大三十日世間へ義理で碁を休み〈現代川柳〉
(34)パンよりも愛を論じた若かった/愛人は交通事故で知れわたり/初恋が何人も居るクラス会/恋文を焼いて明日は嫁に行く
(35)好きだったなどと今ごろ言われても/遺伝子のことは言わずに子を叱る/三つ聞いて二つ忘れて老い進む/救急車下に下にの音でくる
(36)わが家では何にもしないボランティア/夫より一日長い命乞い/足して二で割ればよい子が二人いる/わからないおんなが妻の中にいる
(37)同居して時々惚けた振りもする/ハイハイと同居の嫁に逆らわず/六月の花嫁となるあてもなく/船底の穴を夫婦でふさぎ合う
(38)ああ夫婦おんなじ時に胃が痛む/初孫を抱かせてもらう手を洗う/米あるか野菜あるかも孫見たさ/朗らかな嫁で茶碗がよく割れる
(39)温暖化地球だんだん呆けてくる/安らぎは空気のような君がいて/暑中見舞仕上げた時は秋の風/大晦日とうとう猫は蹴とばされ
(40)三月になると校長胃が痛み/背を向けた故里からの花便り/教え子に貴女と書いて気がとがめ/小学校に土の匂いを嗅ぎに行く
(41)美しい川が校歌にまだ残り/校歌には音痴も惜しみなく歌い/躾まだ未熟のままで娘が嫁ぐ/ふつつかな娘が天下とっている
(42)学習塾遊び足りない子で溢れ/宿題が親の能力超えてくる/宿題はやったかと子にせかされる/成績に触れると眠くなる息子
(43)先生とよぶと四五人振り返り/大学を出たらレールが消えていた/隠居して勤労感謝の日を忘れ/クリスマスお寺はとうに寝てしまい
(44)母の日の母はやっぱり台所/文化勲章人間いやになる頃に/金貸したばかりに友が一人減り/数字だけ貰って帰る給料日
(45)分けるほどない財産で平和です/半額のシールひたいに貼られそう/通帳に恥ずかしそうに付く利息/へそくりを吐かす鵜匠のような妻
(46)遺言を書くほどもない父でいる/ピカソなら解ってくれる私の絵/大根めとつぶやいて死ぬ斬られ役/無口にもこんな芸あり安来節
(47)孫が来てたいへんですと嬉しがり/張り替えて障子は白いものと知り/じわじわとはし歩を突いてくるおんな/奈良の鹿英語も少し解りかけ
(48)のほほんとあははと過ごすバレンタイン/半分は聞かすつもりのひとり言/年齢も七掛けにして若返る/千年を生きて漬物石と成り
(49)都落ちだけど智恵子の空がある/たんぼには出ぬ約束で嫁が来る/反論を封じる君のずるいキス/厚底を脱いでわが身の丈を知り
(50)興奮もなく妻を待つ喫茶店/失業の朝も六時に目が覚める/故郷出て一羽の鳩となる都会/旗の波兄をさらって行ったきり
(51)非常口非常のときが来てしまい/窓際は告別式に狩り出され/過疎の村お地蔵さまも腹が減り/いい笑顔名刺代わりに置いていく
(52)やがて古稀魔女になろうとしてよろけ/思い切り泣ける一人で見る映画/カラオケのマイクを握るだけの芸/よく来たとよく居たと碁の音になり
(53)熱中の囲碁に水さす鳩時計/子が巣立ち妻とジャンケンばかりする/新人が美女で波立つ趣味の会/銀行でくれただるまがお辞儀する
(54)コマーシャルになると夫がお茶という/祝電が以下同文のわけがない/長電話そろそろ妻に椅子がいる/読みとれぬ女の胸のバーコード
(55)麦を踏むとはしらなんだ万歩計/上段にメロン序列があるらしい/家出するきょうの天気を確かめて/想い出となれば憎めぬ人ばかり
(56)石橋を叩きつづけた悔いがある/サスペンス無駄には猫を泣かせない/久し振り家族が揃うお葬式/見合いして親も秤にかけられる
(57)ハンガーに今日働いた肩を載せ/子にあたふ乳房にあらず女なり/有線の流れる中で歯を抜かれ/放課後のテニスコートは恋模様
(58)銅メダル慰めようか賞めようか/胸張って出て届かない始球式/家計簿を見ているだけでダイエット/化粧せぬ日もあり恋の中だるみ
(59)化粧した妻を名前で呼んでみる/来し方は落丁ばかり酒ばかり/試着室迷える妻が出て来ない/お掃除に来るというので掃除する
(60)茹で卵きれいにむいてから落とし/頬染めて茶髪に席をゆずられる/会社には遠いが庭に蝶が舞う/喪服まで借りて来たのにもち直し
(61)幸せで指輪ぬけなくなりました/飛行機も新幹線も母正座/ふるさとの自慢は雪が降るばかり/いたわりのひと声妻に言いそびれ
(62)やわらかい指で刺された背が疼く/もう飲もか五年飾ったナポレオン/連れ立って出た日を妻に数えられ/信号を渡ると女気が変わり
(63)万歩計つけて近道考える/おとうふはさいの目恋はみじん切り/消しゴムで消せる程度の恋でした/倖せを支えた腕がだるくなる
(64)口止めをした本人がまずしゃべり/少年の大志は村を捨てたがり/違いますあなたが先にプロポーズ/死ぬまでに読もう読もうと本を積む
(65)味方から先ず出る釘は叩かれる/お互いに少し抜けてて馬が合い/ひと様をかばっていつも乗りおくれ/わが身より重い患者に励まされ/言い訳けに行く口紅を厚く塗り