「舫の会」の委嘱作品。同会第10回演奏会(指揮:岸信介、ピアノ:法嶋晶子)において初演された。新川和江初期の同名の詩集から編まれた五篇の詩をテキストとする。文語体の美しい韻律、アルカイックスマイルのような古風なロマンチシズム漂う詩に寄り添う音楽は、難曲揃いの鈴木作品の中では、際立って平明な旋律・和声をもった楽想で、豊かな抒情を湛えている。五つの唄〈秋夕夢〉〈夜ふけの雨〉〈悲唱〉〈別後歎唱〉〈晩春秘唱〉は、それぞれ自立した形質をもちながらも、全曲を通して流れる楽想の根底には共通した素地の感触が漂う。組曲の構