始まりは映画『白い船』のサウンドトラックだった。アメリカで現地のミュージシャンたちとのレコーディングを繰り返してきた角松敏生が、徐々に日本という「自分のルーツ」を再確認してゆく過程において、この映画音楽を担当したことが本作への大きな足掛かりになったようだ。「肉体の中にあるもの」を意味する「Incarnatio」と名付けられた本作で、彼はアイヌの弦楽器や沖縄の三線、女性コーラスなどを使用しながらも、あくまで角松流ポップスのフィルターを通して「変わらぬもの」を探し求めている今の我々の心を歌っている。(花 香)