1曲目からスカと昭和のブギウギをごった煮にしたごときナンバー「築地オーライ」に驚かされるが、今の田島貴男にとってこれは「ネタ」じゃない。12枚目を数えるこのアルバムで見られるのは、日本人のアイデンティティをもったうえでの、ある種のベタさ。いったんはテクノの極北めいた場所まで音楽的貪欲を極めた彼だからこそ、それは逆に、いまさらテクノロジー・ミュージックへ走るより新しい。
???陽のぶっちゃけ感をよりリアルなものとして裏づけるのは、「死の誘惑のブルース」や「ひとりぼっちのアイツ」など、都会で一人生きる者たちの描写が、シズル感にあふれていること。そして最後には、自分にとって大事なことを他人と比べることなんかないんだ、と優しく熱く歌う「鍵、イリュージョン」。久々にオリラヴで大泣きできる。(石角友香)