無銘 鬼出刃(オンデバ)
一見すると奇妙な形をしているように見えるが、使ってみると魚をさばくのに合理的な刃の形状であることがよくわかる。
包丁を前に動かすだけで刃がすーっと身に入り込んでいく。また両刃の出刃ため誰でも簡単に使いこなせるのも特徴。
この形状は越前や越後の漁師が昔使っていた海洋包丁を参考にしており、船上で獲物をさばくためだけではなく、万一の海難事故の時に、ロープを切ったりするために使うもので、命を預ける道具でもあった。
今では船上でも磯でも渓流でも仕留めた魚を素早く〆てさばくのに最適な包丁であろう。
現在では手間が掛かり技術も必要なため誰もやらない3枚沸かしと言う方法で鍛接し、精神を集中して鍛造した入魂の1本。
「これは、本来、漁師が魚の鮮度を保つ為に、血抜きに使用していた刃物。根元を魚の喉元にあて、グッと切り裂く。さらに、綱を切り裂くにも適した刃物だ。」岩井貴行氏
それだけ、固く、強靭な刃が必要な鬼出刃。通常の打ち刃物とは更に一線を画し。岩井氏は更にこう話した。「それ故に、鋼と鉄を合わせる行程においてちょっとしたズレも許されない。申し訳ないが、最高のコンディションが揃わないと鍛造は行なえない。」と。
先に生まれた錆びる男の包丁 無銘が、月に30本しか作れないのであれば、この鬼出刃は、月にわずか10本しか作れず、貴重な包丁なのである。
刃の研ぎ出しをしていないので、自分で研いで好みの切れ味に仕上げてください。