テルトル・ド・ラ・ムレールはサンテミリオンの東に位置するSaint-Etienne-de-Lisse (サン=テティエンヌ・ド・リス)村にわずか1.66ヘクタールの畑から生産されている。近くにはヴァランドローやロル ヴァランタン、また2010年にグランクリュ クラッセに昇格したフルール カーディナル等の畑が隣接している。

1950年、現当主のエリック氏の母方の両親はサンテミリオンに5haとカスティオンに2haのブドウ畑を購入した。
1983年にお爺さんが亡くなり、エリックの両親が管理する事になったが、経済的に問題があったので畑を少しずつ売却し現在の1.66haが残った。

1994年からエリックが管理。エリックはヴィンテージの特徴を捉え、フルーティーなワインを造る事を心がけている。

彼は6歳の時からお爺さんと一緒に畑で仕事を手伝い、8歳の時には一人でブドウの管理をする事が出来ていた。1994年からワインを生産していて、ブドウ畑ではビオロジック栽培を実践。2001年からオーガニック、カリテフランス認証を受けている。

畑の樹齢は40年で6区画に分かれておりトラクターは使わず全ての作業は手で行っている。もちろん収穫も手で行い区画毎に収穫しタンクへ運ぶ。

醸造は自然酵母で発酵を行い、ボルドーの伝統的な方法を用い約3週間のキュヴェゾン。又温度が30度以上になった場合はデレスタージュを行い温度を下げる。マロラクティック醗酵はタンクで行い全体の50%は新樽。残りの50%はタンクで約16カ月間の熟成を行う。

彼はこのワイン造り以外に2003年から2010年までの間、シャトー テルトル・ロートブッフでも働いており、畑と醸造の管理もしていた。


●栽培について
葡萄の成長をよく観察し、病気にならないように予防すること。非常にシンプルな考え方である。テルトル・ロートブフのミジャヴィル氏とは同じ考え方でよく意見交換もしている。

葡萄は過熟手前の完熟状態で収穫。葡萄が完熟することによって醸造時に発生する香りをよく抽出することが出来る。また、葡萄本来の香りは熟成によって失われるが、醸造によって得られた香りは熟成することにより安定し、経年によってより綺麗な熟成の香りになると考えている。





畑面積:1.66ヘクタールで1.2ヘクタールはサン=テティエンヌ・ド・リス村の平地に位置している。最も標高が高いところで80メートル。
残りの0.46ヘクタールは標高50メートルの西向きと北向き斜面。
 
土壌:石灰粘土質。表土に粘土と細かい砂、石灰が混じる。下層はヒトデ石灰岩。

平均樹齢:40年

葡萄品種:メルロー80%、カベルネ・フラン20%



テルトル・ド・ラ・ムレールのブドウの比率はメルロー80%、カベルネ・フラン20%で構成されている。決して広くはない土地であるが、彼は、
『この広さは自分一人で管理できるちょうど良い広さなんだよ。』
と穏やかに語る。
ブドウの栽培から醸造まで、収穫作業を除き全て一人で作業をしているのである。

エリック氏にとってワイン造りで一番重要なのは【ブドウ栽培】。
ワイン造りで重要なことを問うと必ず、
『ワインの出来は80~90%がブドウの質で決まるんだ。ブドウさえ完璧なものを作れば、あとの醸造はいたってシンプルになる。(醸造過程で)余計な手を加えないのが僕のワイン造りのスタイルなんだ。』
と答える。


『ブドウの樹の新梢を誘引する際、ブドウを地面ギリギリの位置に実らせるように仕立てるんだよ。
これとは反対に、葉は樹の上部側面にだけ目一杯茂らせる。こうすることで葉で最大限に光合成しながらも、ブドウの周りだけ風通しの良い状態を作ることができるんだ。』

確かに彼の畑の写真を見ると、葉は横方向へ茂り、ブドウはほぼ地を這うように低い位置に実っている。




エリック氏はブドウが完熟し、地面に落ちる寸前の状態に収穫をする。
より成熟した実にするため、地面に近い位置でブドウを実らせることにより、地面からの照り返す温度で熟成を進めさせ、土から吸い上げる栄養素をいち早く吸い取れるような状態を作り出している。


テルトル・ド・ラムレールの畑ではグリーン・ハーベストは行なわない。剪定と芽掻きの段階で収穫量を厳しく制限している。そして収穫時に選果を行っている。





『僕は自分のワインがどういった味わいかは語らない。栽培方法や醸造方法ならいくらでも語る事はできるけどね。
だって舌の感じ方は人それぞれだし、飲む場所、人によって多様化するものだから。だから“自分のワインがどんな味?”って聞かれたら、“まあ、飲んでみてよ!!”って答えることにしてるんだよ。』