■著者
川上允

■内容紹介
品川は、社会の進歩をめざしたさまざまな運動が根づいている土地柄である。戦前のプロレタリア文学の頂点の一つともいえる宮本百合子の『乳房』、小林多喜二の『党生活者』の舞台を提供した。『乳房』の舞台となった荏原無産者託児所(『乳房』では蛇窪託児所)は、無産者の手による全国ではじめての託児所であり、ここと深いかかわりのある大崎無産者診療所も、これまた無産者の手による全国初の診療所である。戦後は、新たなたたかいのなかで、うたごえ運動の中心的歌詩となった「民族独立行動隊の歌」と「原爆を許すまじ」を生み出す。六〇年の安保闘争を経て、七〇年代初頭の革新上げ潮の時代のなかで準公選制という手法をあみだし、革新区政の実現と地方自治体法そのものの改正への転換を実現する役割をはたした。本書は、戦前・戦中・戦後に品川区民が直面した苦難と、これを打開する社会進歩のとりくみと、これを支えた人々の姿に光を当てようとするものである。