■著者
トバイアス・スモレット
根岸彰

■内容紹介
泊まる宿屋は暗くて湿っぽくて、ぞっとするほど汚い。虫だらけの夜具に身を横たえ、トイレもないし、食事ともいえないものを食べさせられる。宿の主人はそろって不親切で強欲である。おまけに宿賃もべらぼうに高い。馬車引きの馬子たちとのけんかも絶えない。こんな困難を乗り越えて、ローマ、フィレンツェなど各地で眼にした絵画、彫刻などを描く感性あふれる見事な筆致は本書での白眉である。これほど克明かつリアルに近世ヨーロッパの諸事情が描かれているものは他にないであろう。翻訳者の10余年の研鑽を経て、待望の完訳ついに成る。