シュトラウスはなぜ、生と死の闘争をモティーフとする作品を生涯書き続けたのか。筆者は解説冒頭、これまであまり注目されることのなかった、19世紀後半以降のドイツ新興ブルジョワ層が培った教養主義の影響について指摘する。本作の題材選びにおけるショーペンハウアーやワーグナーの影響、そして、ただ「死」を描くだけでは飽き足らず、「浄化」という理念を対置させる作曲家の個性についても論じる。
筆者はさらに、本作が大病の体験に着想を得た作品である、という通説は根拠がないと否定し、アレクサンダー・リッターの冒頭詩も後付け