ピアノ楽譜の中で日本で最も有名なのは、間違いなく『バイエル ピアノ教則本』です。しかしこの楽譜のオリジナルの姿は、全く知られていません。初心者用ピアノ教本の中で最多の売上と影響力を誇り、出版各社から数多くの同工異曲版が発行されているにもかかわらず、実はそれらはオリジナルの姿と異なり、イラストや併用曲が加えられ、楽典が書き換えられ、肝心の楽譜も「初版」ではない資料にもとづいて作られて、スラーやアーティキュレーションが変更されています。
本書は1850年に発行された『バイエル』の〈初版〉を日本で初めて明