■著者
松本昇

■内容紹介
「今なぜディアスポラか?」。ある意味でディアスポラは、断片的な今を生きる現代人にとっての比喩なのかもしれない。本書の目的は、そうした問いに光を照射することにある。と同時に、越境と周縁という概念を念頭におきつつ、三つのエスニック文学、つまりユダヤ系アメリカ文学、アフリカ系アメリカ文学、アジア系アメリカ文学で描写されたディアスポラの諸相を探ることにある。その場合の越境は、何らかの理由で祖国を捨てアメリカへ新天地を求めてきた離散少数民族の地理的な移動を示すのみならず、文化や宗教などの差異によってつくられた目に見えない境界線を越える力強さを暗示する。周縁は彼らが社会の周縁に排除された現状を反映する一方で、主流文化に統合されまいとする立場を表わす。