宮澤賢治の5編の詩「病中幻想」「烏百態」「恋」「流氷(ザエ)」「ゆがみつつ月は出て」による混声合唱組曲。これらは全て文語で書かれたもので、《春と修羅》などの口語詩に比べると有名ではないが、故郷岩手の風土や若さを感じさせるとともに、古めかしくも独特の素朴の味わいをもつもの。「病気のなかで感じる幻想、烏の姿にことよせた風刺、恋や失われた友情への追憶が、賢治をとりかこんでいた岩手の自然に投影されている。絶望すら感じさせる賢治の苦悩を歌で寄り添いつつ、その凝縮されたイメージを大きくふくらませてみたい」(作曲者)。